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伝説のVMDメルマガ「ブランド再生に奮闘する女」

みなさんご無沙汰しております、深澤です。
「愛あるブランディングを語る店」PAL’S Bar今月も開店です。

お店には表立って活躍するカッコイイ業界人は集まらないのですが、

日々、夜を徹してお客様の為に活躍される汗と涙の似合う小売関係を私のお店に招いて、

一杯やりながらお仕事についてブ熱ーーーいお話を伺い、

ちょっとだけ皆さんにその内容をお届けするという趣向のメールマガジンです。

もし50回続いたら、リアルに何所かに PAL’S Barを作る野望もありますので

是非、職場内、お友達、親類縁者にご紹介頂き、

ブログ全盛期の世の中でひっそりと続けていけるようにしたいと思いますので、宜しくお願い致します。

では、時間ですので、そろそろ開店します。

GUEST NO.6 「ブランド再生に奮闘する女」

バタンッ(ドアの開く音)
「いらっしゃいませ」(私、以下Fで)
「こんばんは、深澤さん、いつもお世話様です。」(以下M)
「どうも、いらっしゃいMさん」

<ゲストの紹介>
Mさんは、某ミセスアパレルブランドを再生すべく奮闘される女性ブランド
ディレクターです。

F:「いやーいらっしゃいませ、いつも本当にありがとうございます。今日
はオゴリますのでごゆっくり」

M:「ご馳走様です。」

F:「何しましょうか?」
M:「相変わらず、お酒は飲めませんのでウーロン茶で」
F:「了解しました。」
M:「正直、こんな場所で話してる前に、本当に、うちのブランドを何とか
しないとヤバイんですけど・・・・・・・・ちゃんと考えてますか?」
F:「勿論です。今日はその辺りを含めて、お話が出来ればと思っておりま
す。」

F:「では、Mさんの現在の仕事内容をお聞かせください。」
M:「全国に直営店舗で20店舗、卸では百貨店の平場を中心に展開してい
るミセスブランドのブランドディレクターをしております。ディレクタ
ーと申しましてもMDやら、ディストリビューションやらと、生産以外
の全ての業務に関わっております。そして、この秋からお力をお借りし
ている深澤さんの窓口業務までですね・・・・・・・」

F:「僕の窓口は結構、嫌がってますよね。」
M:「メールのレスが世界一遅いですからね・・・・・・・」

F:「改善いたします。さて、ブランド再生ということですが、実際の現状
をお話できる範囲でお教えいただけますか?」

M:「正直、マーケットに置いていかれてしまった状態ですね。2年前に私
がこの部署に来たときには不良在庫の山を毎年築いていく状態。しかも
店頭売上も毎年落ち込みが激しくなりという・・・・」

F:「そうですか・・・Mさんが感じた一番の原因は、何だと思われますか?」

M:「尋問みたいですね、正直ベーシックな商品を扱うブランドですが部署
全体にベーシックの意味を履き違えていたということだと思います。」
F:「それは?」
M:「ベーシックなアイテムは基本のアイテムですが、最もデイリーでタイ
ムリーな商品でないと今のお客様にお召しいただけるベーシックにはな
らないですよね。でも、うちの組織は基本の商品とは、基本的なデザイ
ンであり、基本的に誰でも着ることが出来るという、誰にとっても魅力
を感じないモノ作りをしていましたね・・・・・悲しい状態でした。」

F:「そうですか・・・ちょっとコメントに困りますが、確かにベーシック
という言葉を、間違えた解釈で考えている方は多いですよね。」

F:「デニムなんて一番分かりやすいベーシックアイテムですが、最もトレ
ンド的要素を必要とするアイテムですもんね」
M:「そうですね」
F:「で、Mサンによる改革によって2年間で何か変わることが出来ました
か?」
M:「私だけの力ではありませんが、商品自体は、以前と比べるとかなり進
化してきたと感じてます」

F:「先日の展示会ですね。」

M:「そうです。百貨店のバイヤーさん達からも、お褒めの言葉をいただき
ましたし、来春は何か手ごたえが感じられるのではと思っておりますし、
そうならないと私は今のポジションには居られないと思っております。」
F:「・・・・・・・」
M:「勿論店頭に関しては深澤さんにお任せしますので、結果を求めますよ!!!」
F:「・・・・・ハイ・・・・・」
M:「最初に深澤さんにお会いした際に、VMDをツールだと考えて、人・
環境・モノを一繋がりに改善していきましょう!!!と仰っていましたが、
あの時は、まさにあの言葉がタイムリーに響きましたから。」

F:「ありがとうございます。でもね、本当にVMDって使いこなさないと
もったいないですからね。すばらしい店舗環境も、ディスプレイも商品
も人が使いこなせてこそです。これを教育として施策として、組織が取
り組むことが最も店舗環境を改善する上で重要ですからね。」

M:「ほんとうにそうですね?しくお願いしますね。」
F:「了解です。」
M:「では、私はこの辺で失礼します。」
F:「もう、お帰りですか?」
M:「展示会が終わっても忙しいですから。」
F:「今日は、ご来店ありがとうござました。」
M:「宿題沢山用意して会社でお待ちしております。」
F:「か・か・かしこまりました・・・・・」

今月もまた熱い魂を持ったお客様に来店していただきました。Mさんは現在
のブランドに移動された直後の数カ月は、毎日退職を考えながらお仕事をさ
れていたそうです。ブランド内での商品企画や店舗の運営方法に基本的なプ
ラットフォームも整備されておらず、会社やお客様、そして以前の部署の仲
間達からも取り残されていく・・・そんな想いがあったそうです。しかし、
2年間店舗を廻り、スタッフ、お客様、そして本部スタッフの、何とかブラ
ンドを「変えたい」そして「存続させたい」という気持ちが今のMさんに変
化を起こし、ブランドを進化させてきたのでしょう。

こんなMさんのいるブランドでお仕事をさせていただくことは、私にとって
も身が引き締まるものがありますし、そこに参加できることに喜びさえも感
じます。出来れば来年にでも、もう一度Mさんにはご来店頂き、Mさんだけ
じゃないですね、関係者の皆さんにご来店頂き、祝杯を上げている内容をお
伝えできればと考えております。

では また来月。

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深澤智浩

深澤 智浩

株式会社深澤企画 代表取締役

パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。