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伝説のVMDメルマガ『マイペースを貫くカリスマブランド』

今日も小売の最前線でお仕事をされている方を迎えて、

お客様に商品を購入していただくことの楽しさや、

難しさについて熱く語っていこうと思っておりますので、

閉店まで是非お付き合いくださいね。

GUEST No.20
『マイペースを貫くカリスマブランド』

バタンッ(ドアの開く音)
「いらっしゃいませ」(私、以下Fで)
「お疲れ様。」(以下U)
「いらっしゃいませ」

<ゲストの紹介>
Uさんは、私の最も古くからのクライアントである某国のカジュアルブラン
ドの店舗運営部担当者であり、プライベートでも非常に親しくさせていただ
いているお客様の1人です。

F:いらっしゃいませ、今日は色々とお話を聞かせていただく分、ご馳走し
ますので、ごゆっくりなさってくださいね。
U:はい↓
F:お飲み物は何にしましょうか?
U:では、生一つ。
F:私もお付き合いします。

F:今年で30周年のブランドアニバーサリーですね。
おめでとうございます。
U:ありがとうございます。

F:本当に凄いことだと思いますよ!!
僕も、参加させていただくようになって6年ですからね。時間がたつの
は早いですね。初めて事務所にお伺いした際の提案書を見返す機会が最
近あったのですが、今見ると、お恥ずかしい内容で・・・・・・・
申し訳ありませんです。

U:いやーー、とんでもありませんよ。僕らもVMDっていうことに関して
何となくしか理解していなかったんですが、現在も、こうやってVMD
を軸に店舗運営をしておりますから、感謝していますよ。
F:ありがとうございます。

F:今日Uさんにお越しいただいたのは、日本での直営展開を開始してから
これまで殆ど店頭セールをしないで、売上げ、そして直営店舗を増やし
続けながらブランド運営をし続けている秘訣のようなものをお伺いした
かったからです。この読者の方も、その辺りの話は興味があるのではな
いかと思い、是非と、お呼びしたんですが、、、、、、、

U:そうですか、実際に僕も他のメーカー等で勤めたことがありませんから
ここが違う!!と、一概にお話しするのは難しいかもしれませんが、確
かに、近年どの店舗も、いつ行ってもセールをしている店舗が多くなり
ましたね。

F:そうですね、単純にマーケットに対してオーバーストアというのもある
のですが、この4月の店頭はセールだらけですからね。一度打ったら止
められない麻薬汚染が広がっているような状態ですよね。

U:私達のブランドは90年代から裏原宿を中心に売上げが一気にピークに
達しました。それ以前からも、平行輸入の店舗が多くあり、全国的にテ
ィーン層を中心に人気はあったのですが、あのブームによって一気にメ
ジャーになっていきましたね。

ただ、そのころと、今とも、そしてそれ以前とも我々のスタンスは殆ど
変えませんでしたし、一気に波が来たからといって、店舗は増えました
が何かを変えるというようなことは一切しなかったんじゃないですかね。

F:あの波が終わりを迎える2003年位から私は参戦さしていただきまし
たね。
U:そうですね。深澤さんもキャリー品が結構あって、びっくりしていまし
たもんね。『セールは行わないんですかっ?????』って
F:驚きでした。

U:勿論在庫の消化や店頭・商品の鮮度を考えると、それもありなのですが、
年間半袖TEEが売れるブランドですし、それが顧客の満足に繋がると
は決して思えないじゃないですか?僕らはプロパー価格に対して、それ
に見合う価値を提供しているわけですから、それよりも下げて販売する
ことが出来るならそれは、もともとの価値が疑わしくなることに繋がり
ますからね。

F:まさに、そうですね。僕も、いつも商品を購入させていただいておりま
すが、購入した商品は、使用頻度も高いし、使用回数も多い。勿論デザ
インが気に入って購入していますが、高いと感じたことはありませんよ。

U:ありがとうございます。周りを見渡せば、全てではありませんが・・・
収益と顧客満足が反比例しているモデルのブランドばかりじゃないです
か?僕らは出来るだけ顧客と共存しようと思っていますから、収益と顧
客満足が比例するようなモデルを心がけていますよ。

F:なるほど、理想ですね。
U:ハイ、共存しようと思っているから、ブランドを生き方と捉えています。
出来る限り、提供価値のフィルターだけは確立して商品提供を行う。提
供価値のフィルターを確立してあるからこそ、柔軟になれるということ
です。

F:だから毎年、色んなデザイナーやブランドのコラボも可能であるという
ことですか?
U:そうですね。フィルターがしっかりしているから、提供価値は見誤らな
いと思いますし、これが、ここに集まる才能やブランド、クリエイター
と繋がれる柔軟性にもなっているのだと思います。

それは、外から見た目で私達を表現してもらう作業にもなるわけですか
らね。僕ら自身も可能性を広げる作業ですね。

F:深いですね。確かに、最近のコラボ商材は、明らかにコラボする、どち
らかに頼っている姿勢が見受けられますからね。これは正直つまらない。
U:(笑)そうですね。フロアがミッキーだらけになってるところがありま
したよ。ここは、ディズニーストアかと?

F:では、この価値提供フィルターというのは、顧客満足を生み出す視点の
集合体というのな認識と考えてよろしいでしょうか?
U:そうですね。この中にはブランドコンセプトも入っていますし、デザイ
ナー、参加しているクリエイターのメッセージも詰まっています。僕ら
も含めた、ブランドのエレメントがギッシリ張り巡らされているフィル
ターといった感じですね。

F:中々、ここを通過するのは厳しそうですね。
U:そこは信頼で成り立っていますからね(笑)

F:では、ちょっと、今後のことについてお聞かせいただいてもよろしいで
すか?
U:ハイ

U:そうですね。国内では10代20代前半の子達がファッションに興味が
なくなっていますよね。このあたり国内での売上げは頭打ちになってく
ることも考えれるのですが、30代40代の層は、やはりお客様も成長
している分、増えていっています。ターゲットは、以前よりも広がるの
だと予測できますが、まずは私達自身が提供価値を見誤らずに、私達の
提供価値に賛同してくれるサポーターを増やしていくと言うことでしょ
うね。

F:ファンではなく、サポーターですね。共存ですね。
U:あとは、深澤さんも今、重点的にがんばっているアジアの見直しですね。
ここはやらなくてはなりませんが、本国と連携しながらそろそろGOす
ることが必要だと感じています。

F:そうですか、その時はまたご協力させてください。
U:勿論こちらこそ。
F:今日はありがとうございました。
U:ご馳走様でした。

今回ご来店いただいたUさんの運営されているブランドですが、本当に理想
的な状態にあるのだと思います。ただ、常にそのスタンスの置きかたや提供
価値、このあたりの安定感を向上させるために、とにかく柔軟にそして感性
的な質の向上に取り組んでいらっしゃいます。

お話を伺っていつも思うのは、どこかでやっていた風であるとか、以前にこ
んなのがあった?というような取り組みを誰一人していないということです。

Uさんのブランドは、僕自身VMDを組む上で「○○風だとか、○○みたい
な感じの店舗だよね」なんて言われたくないと最も感じるお客様ですし、関
わる人間にそんな緊張感さえ与える雰囲気があります。

これが、Uさんの言うフィルターなのだと思いますし、信頼があるからこそ
甘えを許さないチームとなっているブランドなんだと実感します。

海外展開を成功させたら、是非またUさんにご来店していただきたいと思っ
ております。では、では・・・・・・

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深澤智浩

深澤 智浩

株式会社深澤企画 代表取締役

パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。