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VMD用語について語る 人気ある売場やブランドに発生する後光効果

今回は人気のある売場とブランドに発生する後光効果について語ってみます
ね。まず、後光効果とは神仏、神や仏のように崇められている存在の背後が
眩しく輝いているように見える状態や、宗教画などの絵や彫刻に描かれてい
るような モノや人を後ろから照らし出す光や明るさのことを言います。

これは心理的に起こりうる現象ですが、まず今回は第一弾として、色や素材といった物理
面から起こる後光効果について簡単に説明してみます。

色彩検定などを受検した又は簡単にでも色を学んだことがある方なら聞いた
ことがあるかと思いますが、色の対比効果が最も分かりやすい例かもしれま
せん。

対比効果とは、売場で例えるなら白のコーヒーカップを何色の什器、何色の
店内で売ると、より一層美しく見えるのだろうか?という考え方に使われる
効果のことで、2色で組み合わされた色同士の関係によって、互いがそれ一
色で見るときとは違った見え方をするということです。

対比効果には明度、彩度、色相の3種類があります。それぞれ、色の違い、
強さ明るさの違いなど、対比が大きければ大きいほど効果が分かりやすく現れます。

物体は必ず大きな背景となる色の反対の性質の影響を受けるということです。

実際に白のコーヒーカップなら 白の背景と黒の背景で その色の見え方を比べると、
黒の背景を持ったカップの方が背景の反対色となる白に影響されるために、
並べられた白いカップは実際より白く光輝いて見えるという効果が得られます。

どうですか?何となくお分かりになるでしょう。

最近特に高級食材を扱うスーパーマーケットなどでよく目にするようになっ
たのですが、冷ケースやフードトレイなどに黒を使う店舗が増えてきました。
これも、並べられた食材に対して 背景となる黒という色がもたらす後光によって
食材自体が輝いて見えるように感じられると言う効果があるからでしょう。

少し前までは黒という色は、腐敗や食材の劣化をイメージし易い色というこ
とで食料品店の店内色などに使うことはご法度だったのですが、
黒は色の中でも 最も明度彩度が低いという特性から
黒以外の色を輝かせる効果があるという認識が高まるにつれ、
黒を効果的に売場に取り入れるお店が多くなったという事も考えられます。

元来日本では、伝統的な行事の際に使われる食器や器の内側は黒で塗られて
いるのもが殆どですよね。色鮮やかな伝統料理をうつくしく輝かす役割とし
て黒の後光効果が必要だったからです。

このように書いてくると黒という色に限って後光効果が発生するように聞こ
えてしまいますので、もう少し付け足すと、魅せたいモノ(商品)をより一
層輝かせて魅せるためには、背景や対比させるものとして色、素材に真逆の
性質を持ったものを使うと効果的だということです。

ちょっと前に話題になった 『やわらか戦車』なんかも当てはまると
思いませんか?

色で言えば魅せたいモノの反対色を背景に選び対比させる、素材でいえば硬
いものを効果的に見せるには柔らかな背景を、重いものを見せるなら軽い背
景を選ぶなど、背景と物体に大きなギャップが感じられれば感じられるほど、
強調したい性質をさらに効果的に見せることが出来るため、総体的に商品の
価値が上がってまるで 商品の後ろから光が輝いて見えるようになるというものです。
これが売場内で起こる心理的な後光効果です。

「全ての商材に必ず当てはまる」とは言い切れませんが、什器の色や店内内
装色を選ぶ考え方の一つになるかと思います。「この理論をブランドのイメ
ージやストーリーに取り入れるとどうなるか」については、また次回お話し
いたします。

深澤智浩

深澤 智浩

株式会社深澤企画 代表取締役

パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。