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伝説のVMDメルマガ『身内でごめんなさい』

今日も小売の最前線でお仕事をされている方を迎えて、

お客様に商品を購入していただくことの楽しさや、

難しさについて熱く語っていこうと思っておりますので、閉店まで是非お付き合いくださいね。

GUEST No.16 『身内でごめんなさい』

バタンッ(ドアの開く音)
「いらっしゃいませ」(私、以下Fで)
「お疲れ様です。」(以下O)
「いらっしゃい」

O君は、僕が専門学校で講師をしていた時にスカウトした生徒であり、現在、
施工ディスプレイを中心に僕をサポートしてくれる頼もしい若人である。
今夜は近々誕生日ということもあり、一杯ご馳走するだけで誕生日の祝いと
させてもらおうというセコイ狙いと、最近若干忙しい中すれ違いが生じてい
るので、お互いの現状を話し合い未来に向けてPAL’S Barと深澤企画を盛り
上げていこうという主旨である。

F:いらっしゃい、ホントいつもがんばってもらって悪いね。。。。。
O:はい↓

F:何だよ元気出せよ!!とりあえず何飲む?
O:じゃーテキーラで。
F:行くね~。じゃ、お付き合いするよ。
O:よろしくお願いします。

F:最近元気が無いけど何かあったの?気になってたんだけど?
O:何だか最近、不振というかスランプですね。
正直結果が付いてこないというよりも、一回成功事例がでると、それだ
けが正解になってしまって、気づくと同じことをやってしまう。
『うッ、また同じことやってしまった・・・・・と』悩むわけです。

F:それは、悪いことじゃないと思うよ。
S:本当ですか?でも、もっとアイディアが欲しいですし、
別のやり方もあるんじゃないかと考えることが多いです。

F:それはね、俺も全く同じ気持ちになるよ。昨日も、色々刺激が欲しくて
渋谷・原宿・新宿なんかを巡回したけど、結局自分の中で消化したもの
じゃないと、アイディアとしては使えないもんね。
S:そうですか?でも売場に入ると色々と新しいこと試すじゃないですか?
深澤さんは?

F:でもね、そこは例えば昔からある陳列の理論の見方や使い方を別の角度
から捕らえて打ち出しているだけで、意外と基本のことばかりだよね。
S:そうですかね。
F:例えば、今って売場で色んな陳列や演出の方法があって、すごく色んな
ことを行っている売場が多いけど、実際にお客様が入っている店舗を見
ると、やっぱり基本的なことを繰り返している。H&M、F21なんか
見たって別に難しいことをやってる訳じゃなくて商品と客数に基づいて、
比較的基本的なことを行っているよ。勿論ストアデザインの部分は別だ
けど、分類やカテゴリー分け、そしてディスプレイ陳列、すべて理由付
けがあって行っていることばかりだよね。

O:そうかもしれないですね。
でも、それにしても新しいアイディアが欲しいですよ。
F:多分なんだけどね、たとえばPDCAってあるじゃん?
O:仕事のサイクルですよね。
F:ウン。あれって変だと思わない?
O:なんで、ですか?
F:だって情報収集しないで計画を立てるなんてありえないでしょ?
普通ならRPDCAだよね。RESEARCH(情報収集)のRが最初
でしょ。

O:なんか、以前授業で聞いたときにはPDCAって言ってましたよね??
F:うん、でも実際にひとつの仕事に取り掛かれば、誰でも間違いに気づく
よね。
O:まぁ~それは良いとして、それがどう関係ありますか?アイディアと?
F:だから、情報の見方を変えれば、別の答えが出てくるのかと・・・・・
O:全くわからない。

F:O君全然駄目駄目だね~
O:師匠が悪いからですよ。
F:もうしわけ・・・・・

F:でもね、例えば単価が伸びているのか?数が伸びているのか?客数が伸
びているのか?それとも大口が来たのか?あと、伸びる時間があるとか、
伸びる曜日があるとか、結果に対する原因は色々な角度から見ることが
できるでしょ?そこを見極めてさえいれば、確実に取るべき方法は見え
てくると思うんだよね。

O:分かったような、分からないような・・・・・
F:まず、かっこいいモノ作ろうなんて思わずに、現状を確実に見極めて、
その状況に本当に必要な方法を選べるようになるといいね!!ということ。
O:そうですね。分かってはないけど、分かったことにしておきます。
F:あッ、何か腹立つね!!
まぁ~いいや、それよりも先日、アクセサリーブランドのM社長から連
絡があって壁の絵を変えたって言ってたよ。
O:あの『宇宙人の大サーカスの絵』の社長ですか?

※この話は以前PAL’S Barに来店された社長が自社の壁に書いた絵の話です
が、自社の営業マン達が売上げる方法を考えろというと『安くて売れる商
品があれば売上げは上がります』と言い切ったことについて腹を立て、存
在しないけど、もしあれば誰でも見たい、買いたいと言うだろう、『宇宙
人の大サーカス』の絵を皮肉を込めて描き、社に掲げたという話です。
<バックナンバーはこちら↓>
http://www.apparel-web.com/ps/qn/guest/news/showbody.cgi?CCODE=1&NCODE=44

F:そうなんだよ、今度はね、流し素麺の絵らしいんだけど、営業マン達が、
流し素麺の器具からうどんを流している絵なんだって。でも、お客たち
は、素麺を待っているのにうどんが流れて来るわけだから、誰も食べず
にいるという絵を描いて、新たに社に掲げたらしいよ。

O:へーーーどうしてですか?
F:どうしてですかって?何が?
O:だから何で食べないんですかね?
F:これは、『思い込むなっ!!』ッてことを言った教訓だと思うの。営業
マンは、ただ食欲を満たすだけなら、素麺よりもうどんの方が太くて量
感もあるので「お得だ!」と思い込んで、流し素麺の器具からうどんを
流すんだよ。でも待っているお客は、あくまで素麺を待っているわけだ
から、うどんみたいな太い麺が流れて来たら食べる気は起きないだろう
ということ。供給者の感じる少しの違いは買い手の大きな違いになるだ
ろうし、売り手が勝手な思い込みだけで動くなということかな。

O:なるほど、でも分かりづらくないですか?
F:分かりやすいよ!!さっきのアイディアの話も、状況が見極められなけれ
ば新しいアイディアなんて流しうどんと一緒で、思い込みの不要な押し
売りだろうしね。
O:なるほど、今分かったような気がします。
F:頼むよホント。
O:大丈夫ですよ。何か掴んだかも!!!です。

F:それなら良いけどね。今の世の中、けっこう本当に沢山の店舗が、安価
ならば良い、安全なら良い、この二つが揃えば、安易な発想や商品でも
売れるという。思い込みの3Aだよね。皆この思い込みで行っちゃって
る部分が多いから僕らは気をつけような!!!

O:了解です。また、長くなりそうなんで帰ります。
F:そう、なんかまた腹立つから3000円ね。
O:金取るんですか?
F:給料から引いておきますので
O:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ケチ

ということで今月は、身内であるO君を呼んでのPAL’S Barでした。

彼は、今この環境の中で仕事を覚えているせいか、非常に売場で出来ること
への窮屈さを感じているようでした。しかし、逆を言うと、どんぶり勘定的
に、絶対に感覚や勢いだけで売場を作るなんてことをしない、職人的な才能
を開花させています。今2人でこの市況と戦っていますが、彼が今後成長し
ていく上でこの時期の経験は、今は窮屈でも、きっと多くの知見を残すだろ
うと思っております。

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深澤智浩

深澤 智浩

株式会社深澤企画 代表取締役

パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。